夜中の2時、肩のうずきで目が覚める。右を向いても左を向いても、腕の置き場がない。眠りが浅くなり、朝から疲れている——。
これは「夜間痛」と呼ばれる、四十肩・五十肩でいちばんつらい症状です。この記事では、なぜ昼より夜に痛むのかという仕組みと、今夜からできる対処をお伝えします。
なぜ、昼より夜に痛むのか
「夜のほうが痛いなんて、気のせいだろうか」と不安になる方がいますが、気のせいではありません。仕組みがあります。
① 使いすぎた筋肉が「オフ」になりきらない
日中、肩をかばいながら使いすぎ気味になっていると、力こぶの筋肉(上腕二頭筋)や胸の筋肉は、夜になっても緊張が抜けきらないことがあります。
体は布団で休んでいるのに、筋肉だけが働き続けている。この状態が、夜のうずきの土台になります。
② 眠るとき、体は「回復モード」へ切り替わる
眠りに入るとき、体を回復モードへ切り替える神経(副交感神経)が優位になります。血流や感覚が変化して、日中は活動に紛れていた痛みを感じやすくなるのです。
まわりが静かで、痛みに意識が向きやすくなることも重なります。
③ 寝る姿勢の直接ストレス
横向きで痛い側を下にすれば、肩が体重で押しつぶされます。仰向けでも、腕の重さが痛んでいる場所を引っ張ります。
この3つが重なるのが夜です。昼より痛むのは、当然のことだったのです。
今夜からできる、痛みを減らす寝方
痛い側を下にしない
まず、これだけは徹底してください。痛い肩を下にした横向きは、一晩中肩を圧迫し続けます。
腕の「置き場」を作る
- 横向き:抱き枕か、たたんだ掛け布団を胸の前に置き、上側の腕を乗せる
- 仰向け:肘から手首の下にバスタオルを敷き、腕の重みを預ける
- 脇の下に薄いタオルを挟むと、肩の潰れがやわらぐ方もいます
ポイントは共通で、腕の重さを肩に負担させないことです。腕は片方だけで3〜4kgあります。その重さの行き先を、タオルに肩代わりさせます。
寝る前の10秒
布団に入ったら、長くゆっくり息を吐きながら、肩を耳から遠ざけるように下ろします。日中の力みを持ち込まない、小さな儀式です。
四十肩・五十肩は、時期によって対処が変わります。全体像は四十肩・五十肩を生活動作から改善する|症状別ガイドにまとめています。
夜の痛みが強い時期は、「がんばらない」が正解です
じっとしていてもズキズキする夜間痛は、肩の中で炎症が起きているサインであることが多いです。この時期に痛みをこらえてストレッチをすると、火に薪をくべることになります。
五十肩には時期ごとの正解があります。改善の3ステップと初期にやってはいけないことで詳しく解説しています。
強い夜間痛が数日以上続く場合は、整形外科で炎症の状態を確認してもらうのも選択肢です。注射や薬で夜の痛みを抑えることは、病院にしかできない大事な役割です。
夜の症状の原因は、日中に作られます
夜間痛は夜の問題に見えて、実は日中の肩の使い方の積み重ねです。買い物袋の持ち方や洗濯物の干し方を変えるだけでも、肩の一日の労働量は減らせます。
当院では、夜の寝方と日中の動作の両方を評価して、痛みの負担を減らす計画を一緒に作ります。眠れない状態が2週間以上続いているなら、一度見せてください。
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眠れない夜が続くと、体より先に心が削られます。
実際に来られた方で、こんな方がいました。
「30分おきに痛みで目が覚めるんです。湿布を貼れば引くかなと思って、1週間ほど様子をみていたんですが、全然楽にならなくて」
そうおっしゃって来院されました。夜が来るのが怖くなっていた、とも。
そのときお伝えしたのが、タオルや抱き枕を使って腕の「置き場」をつくる方法です。肩と腕がぶら下がった状態が続くと、炎症のある部位にじわじわと負担がかかり続けます。少し支えをつくるだけで、その負担を軽くすることができます。
「痛みで起きなくなったわけじゃないんですけど、眠れる時間が少し長くなりました」
次の来院でそう報告してくださいました。完全に解決する魔法ではありません。ただ、少しでも肩を休ませて、回復を手助けする一つの手段として、続けてもらえると変化が出てくることがあります。
ひとつ気づいていることがあって、タオルを使う方法はウェブで調べると出てくるので「知ってはいる」という方が多いんです。でも、実際にやっている方は少ない。クッションを持ってきて、腕を乗せてみてもらうと「こういう感じか」とわかって、そこからやってみてくれることが多いです。
今夜はまず、タオルで腕の置き場を作るところから。夜は、工夫で守れます。
この症状を根本から見直したい方へ


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