高い棚の物を取ろうと腕を上げたら肩がズキッとした。押し入れの上段に手が届かなくなってきた。腕を上げると途中で引っかかる感じがある……。
こうした「腕を上げる動作」での痛みや引っかかりは、四十肩・五十肩の最も典型的な初期サインのひとつです。「肩こりがひどいだけかな」と放置しているうちに、だんだん腕が上がらなくなってきた、というケースも多くあります。
ただし、腕を上げるときの肩の痛みにも種類があります。肩こりによる筋肉の緊張なのか、四十肩の炎症なのかで、対処法がまったく異なります。まずはどちらのタイプかを確認することが大切です。
高い棚の物を取るときに肩が痛くなる「2つの原因」
① 筋肉の緊張・インピンジメントタイプ(肩こり系)
肩まわりの筋肉が慢性的に緊張していると、腕を上げたときに肩関節の内側で腱や組織が挟まれる「インピンジメント」という状態が起きやすくなります。「腕を上げると途中でズキッとするが、完全に上がらないわけではない」という場合はこのタイプの可能性があります。姿勢の悪さや肩甲骨の動きの低下が関係していることが多いです。
② 四十肩・五十肩の初期〜炎症タイプ
四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)では、肩関節を包む関節包や周辺組織に炎症が起き、腕を上げる動作で強い痛みや引っかかりが出ます。特に「腕が肩の高さより上に上がらない」「上げようとすると激しく痛む」という場合は四十肩が疑われます。高い棚に手を伸ばす動作は、肩関節が最大限に動く動きのひとつのため、四十肩の初期に真っ先に症状が出やすい動作です。

自分でできるチェック|どちらのタイプ?
🔴 四十肩・五十肩の可能性が高い
- 腕が肩の高さより上に上がらない、または上がりにくくなった
- 高い棚に手を伸ばすと肩に強い痛みが走る
- 服を脱ぎ着するとき(特に後ろに手を回す動作)が痛い
- 夜中や朝方に肩が痛くて目が覚めることがある
- 40〜60代で、最近急に腕が上がりにくくなった気がする
🔵 肩こり・筋肉タイプの可能性が高い
- 腕は上がるが、途中で引っかかる感じや重さがある
- デスクワークや長時間の同一姿勢のあとに悪化しやすい
- 揉んだり温めたりすると楽になる
- 夜間痛はない
※両方に当てはまる方も多くいます。判断しにくい場合は専門家に確認してもらうのが安心です。
高い棚・押し入れ作業での肩への負担を減らす「3つの工夫」
① 踏み台で「腕を上げる角度」を減らす
高い棚や押し入れ上段への作業でも、踏み台に乗って体ごと高さを上げると、腕を上げる角度が減り、肩への負担が大きく変わります。「踏み台を使うほどではない」と思いがちですが、四十肩の疑いがある方には特におすすめです。30cmの踏み台でも肩への負荷は大きく変わります。
② 「よく使うものは高い棚に置かない」環境を整える
痛みがある時期は、無理な動作を繰り返すことが炎症の悪化につながります。高い棚の物は出し入れしやすい高さ(腰〜肩の間)に移動させるなど、環境を整えることで肩への負担を減らしましょう。「整理整頓が苦手で…」という方もいますが、これは体を守るための環境調整です。
③ 物を取るときは「両腕・体重を使う」
痛む方の腕だけで物を取ろうとすると、肩に集中的な負荷がかかります。反対の腕を添えて補助しながら取る、または物を体に引き寄せながら降ろすだけで、肩への負担が分散されます。また、重い物を下ろすときは「ゆっくり体に沿わせて降ろす」ことで急な力みを防げます。

やってはいけないこと
❌ 「痛みをこらえて腕を上げ続ける」のはNG
「ちょっと無理すれば届く」と痛みをこらえて高い棚に手を伸ばすことを繰り返すと、四十肩の炎症期には症状が一気に悪化するリスクがあります。「痛いけどやれば届く」という状況こそが、炎症を悪化させる最も多いパターンです。踏み台を使う、誰かに頼む、を優先しましょう。
❌ 「腕を上げるストレッチ」を無理にやるのはNG
「腕が上がらないから上げる練習をしよう」と、炎症期に無理なストレッチをすると逆効果になります。四十肩の炎症期(安静時にも痛む・夜間痛がある時期)は、積極的に動かすより安静を保つことが優先されます。ストレッチが有効な時期かどうかは、専門家に確認してから行ってください。
整体でできること
「高い棚が使えなくなってきた」「押し入れの片付けができない」というご相談は、当院でも毎年この時期(大掃除・模様替えのシーズン)に多くいただきます。
まず大切なのは、「今が四十肩のどの時期にあるのか」を見極めることです。炎症が強い時期なのか、少し落ち着いてきている時期なのかによって、施術のアプローチがまったく変わります。
作業療法士として15年間リハビリ現場で肩関節の疾患に関わってきた経験から、肩の可動域・痛みの方向・炎症の状態を確認したうえで、無理のない範囲でのアプローチを提案しています。「また高い棚が使えるようになりたい」という目標に向けて、一緒に取り組んでいきます。
よくある質問
Q. 腕が上がらなくなってきたのは四十肩ですか?
40〜60代で急に腕が上がりにくくなった場合、四十肩(肩関節周囲炎)の可能性が高いです。ただし、腱板損傷など他の疾患が原因のこともあるため、確定的なことは動きの評価をしないと判断できません。夜間痛・腕の上がりにくさ・安静時の痛みが重なる場合は早めの確認をおすすめします。
Q. 四十肩は放っておいても治りますか?
四十肩は適切に対処すれば改善していくことが多いですが、放置して無理な動作を繰り返すと炎症が長引いたり、関節が固まる「拘縮」が進んでしまうことがあります。「そのうち治るだろう」と思って半年以上放置した結果、腕がほとんど上がらなくなってから来院される方も少なくありません。
Q. 高い棚の作業はしばらく完全にやめるべきですか?
完全にやめる必要はありませんが、炎症が強い時期は痛みが出る動作を繰り返さないことが大切です。踏み台を使う・頻繁に使うものを低い場所に移す・誰かに手伝ってもらうなど、「やり方を変える」という視点で対応してください。
こんな方はご相談ください
- 高い棚や押し入れに手を伸ばすと肩が痛い
- 最近、腕が肩より上に上がりにくくなってきた
- 腕を上げると途中で引っかかる感じがある
- 夜中や朝方に肩が痛くなることがある
- 肩こりだと思って放置していたが、だんだん悪化してきた
「腕が上がらない」という変化は、早めに対処するほど回復も早くなります。まずは一度、現状を確認しにきてください。
四十肩・五十肩について詳しく知りたい方はこちら:
四十肩・五十肩の症状と対処法|つくば桜日和整体


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