インパクトドライバーを頭より上で構えた瞬間、肩の奥がズキッとする。
「契約しているところから仕事はどんどん入れてくれる。それに応えないわけにはいかないから、結局休みが減ってしまうんだよね」
リフォームや設備、建築のお仕事をされている方から、よくこう聞きます。ありがたい話のはずなのに、休みは削られていく。そこへ家族の用事も重なって、自分の体のことはいちばん後回しになります。
「でも、辛いんだよね……」
だからこの記事では「休んで治す」方法ではなく、働きながら肩とひじを守る方法をお伝えします。
「治す」より先に、「作業のしかた」を変える
痛みの原因が仕事の動作にある場合、施術だけ受けても同じ作業でまた戻ります。
逆に、原因になっている動作を少し変えれば、その効果は毎日の作業時間のぶんだけ積み重なります。週1回のケアより、1日6時間の作業の質を変えるほうが大きいのです。
なぜ現場仕事は肩とひじにくるのか
理由はシンプルです。「重い腕を上げ続ける」「強く握り続ける」という2つの動作が多いからです。
肩:片腕はボウリングの球1個ぶん(3〜4kg)
頭より上の作業では、この重さを肩の奥にある小さな筋肉(腱板)が支え続けます。腱板は細かい調整が得意な代わりにスタミナがありません。天井や高所の作業が続く日ほど、肩の奥が悲鳴を上げるのはこのためです。
ひじ:握る筋肉は、ひじから始まっている
指や手首を動かす筋肉は、実はひじの外側に付け根があります。工具を強く握るたびに、その付け根が引っ張られます。「使ったのは手なのに、痛いのはひじ」の正体はこの仕組みです。くわしくは握る・持つ作業で手首やひじに痛みが出る理由で解説しています。

肩こりは、原因がひとつとは限りません。全体像は肩こりを生活習慣から改善する|症状別ガイドにまとめています。
現場でできる工夫は3つ
① 「腕を上げる」のではなく「体を上げる」
高い場所の作業は、脚立をもう一段だけ上がって、手元を胸から目の高さに下げます。腕が肩より下にあるだけで、肩の負担は大きく減ります。面倒なもう一段が、肩の寿命を延ばします。高いところでの作業が多い方の肩の不調も参考にしてください。
② 同じ動作を30分以上続けない
筋肉は「強い力」より「同じ力の出しっぱなし」で傷みます。ビス打ちが続いたら、材料運びを1回はさむ。工程の順番を入れ替えるだけでも、同じ筋肉の連続勤務を防げます。
③ 帰りの車に乗る前の2分
使いっぱなしの筋肉は、仕事が終わっても力が抜けきっていません。腕をだらんと下げてぶらぶら振る。胸の前を開いて伸ばす。これだけでも、こわばりを翌朝に持ち越しにくくなります。
我慢していい痛みと、放置しないほうがいい痛み
作業中だけ痛くて、帰る頃には落ち着く。——使いすぎのサインです。上の3つの工夫で変えられる余地があります。
夜、何もしていないのにズキズキする。袖に腕を通すだけで激痛が走る。——四十肩(五十肩)が始まっているサインかもしれません。この段階を「揉んで我慢」で乗り切ろうとすると長引きやすいので、一度体の状態を確認しておくと安心です。
「仕事は休めない」前提で、一緒に作戦を立てます
私は作業療法士(元・病院リハビリ職)です。リハビリの仕事は、痛い場所だけを見るのではなく「その人の仕事や生活の動作をどう変えるか」を考える仕事でした。
初回は、どの作業の・どの角度で痛みが出るのかを一緒に確認するところから始めます。休まず続けるための作戦を、あなたの現場に合わせて一緒に考えましょう。
仕事を減らせないなら、体の使い方のほうを変える。そのほうが現実的です。ずっと後回しにしてきた体に、60分だけ時間を使ってみませんか。
この症状を根本から見直したい方へ
