スマホジンバルの持ちすぎで手首が痛い…実は多い“見えない負担”
動画撮影や配信で欠かせないスマホジンバル。でも、長時間持ち続けることで、手首や指に強い負担がかかることをご存じですか?
一見軽そうなジンバルでも、カメラやスマホの重みが加わると、長時間握りしめることで腱鞘炎を引き起こすリスクがあります。
腱鞘炎とは?解剖学的な視点から
腱鞘炎(けんしょうえん)は、腱(筋肉と骨をつなぐ組織)が腱鞘(けんしょう)という“トンネル”を通るときに、摩擦や炎症が起こる状態です。
手首や親指の腱鞘炎で特に多いのは:
- ド・ケルバン病(狭窄性腱鞘炎):親指側の手首に痛みや腫れが出やすく、ジンバルの握り動作で起こりやすい
- 手関節の屈筋腱・伸筋腱の炎症:握り続ける・手首を固定したまま長時間使うことで炎症が生じやすい
ジンバルを持ち続けるという行為は、「重いものを固定+握る+微調整で動かす」という、腱鞘炎を引き起こしやすい動作の連続なんです。
実は手の筋肉はとても小さく、「繊細な操作」には優れている一方で、長時間同じ力で持ち続けたり調整し続けることにはあまり向いていません。
例えばペンを持って長時間書いていると手がだるくなるように、ジンバルを持って撮影を続ける動作は、**見た目以上に“手の限界を超えた負担”**がかかっているのです。
「軽いものでも持ちっぱなしはつらい」というのは、買い物袋やマウス操作の疲れと同じ構造です。
① ペンを持ち続けていると手が疲れる感覚
たとえば、ペンを持ってずっと文字を書き続けていると、手がだるくなってきますよね。
これは手の筋肉が“細かく動かす”ことには慣れていても、“長時間同じ動作を続ける”のは苦手だから。
ジンバルを握りながら微調整を続けるのも、これと同じような負荷が手にかかっています。
② レジ袋を長時間持つと“軽いはずなのにツラい”感覚
数キロのレジ袋をずっと下げて歩くと、たいして重くないはずなのに手がしびれてくることってありませんか?
それも手の筋肉が長時間の持続的な力に向いていない証拠。
ジンバルは1kg程度でも、ずっと握っていると“持ちっぱなし”の筋肉疲労がたまってくるのです。
③ マウス操作で手首が疲れる人が多いのも同じ
デスクワークでも、マウスをずっと握ってるだけで手首や指が痛くなる人は多いですよね。
それも実は同じ。動かしてるようで動かしてない=静止しながら細かく支えてるという姿勢が、手首や指に負担をかけ続けているからです。
腱鞘炎になってしまったときの対応策
- まずは“握らない・動かさない”時間をつくる
- 急性期は冷やし、炎症が落ち着いてきたら温めて回復促進
- テーピングやサポーターで動きすぎを防ぐ
仕事を休めない人へ:使いながら守るコツ
- 握る時間を区切る(例:30分作業 → 5分リセット)
- グリップを工夫して脱力しやすくする
- 作業後はストレッチとアイシングをセットに
- 意識的に「脱力タイム」を設けておく
再発予防におすすめの筋トレ
- グーパー運動(握る・開く)
- 輪ゴムなどで指を横に開く筋トレ(母指外転筋)
- ペットボトルなどで手首の回旋トレーニング
手首を守るためのストレッチ
① 手のひら側(屈筋群)のストレッチ
- 片手をまっすぐ前に伸ばし、手のひらを上に向ける
- 反対の手で指先を持ち、手首を反らすようにゆっくり伸ばす
- ひじを曲げずに20秒キープ × 2~3セット
② 手の甲側(伸筋群)のストレッチ
- 手のひらを下に向けて腕を前に出す
- 反対の手で手の甲を持ち、手首を内側に曲げる
- 肩がすくまないように注意し、前腕が伸びるのを感じる
- 20秒 × 2セット
③ 親指まわり(母指球)のストレッチ
- 親指を他の指で包みこむように握る
- 手首を小指側に倒す(ド・ケルバン病予防)
- 親指の手首側が伸びていればOK。10秒×3回
ストレッチのタイミングと頻度
タイミング | 内容 |
---|---|
作業前 | 軽めにグーとパーを繰り返す、手首回し |
作業合間 | 握り続けたあとに甲側ストレッチを中心に |
作業後 | すべての部位をじっくり20秒以上キープ |
まとめ
- スマホジンバルの使用は腱鞘炎を引き起こすリスクが高い
- 痛みを感じたら休息・アイシング・保護が大事
- 筋トレとストレッチで再発防止
- 仕事を続けながらケアを行うことも可能
長時間握り続ける職業の方こそ、こうした「小さなセルフケア」を積み重ねることが、体を守る第一歩です。
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