登山から帰った翌日、背中が痛い。
寝返りを打つときも、布団から起き上がるときも痛い。
そんな状態で来られた、60代のお客さまのお話です。
最初に伺った目標は、「痛みをなくすこと」ではありませんでした。
できるだけたくさんの山に登れるように。登り続けられるようにしたい。
ですので、登山はやめていません。続けながら取り組みました。
最初に取り組んだのは、布団の中の動きでした
背中の痛みで来られた方に、まず何をするか。
このお客さまの場合、最初の目標は山ではありませんでした。寝返りと、起き上がりです。
理由は、毎日必ず繰り返す動きだからです。寝返りのたびに痛みが出れば、夜のあいだ体が休まりません。休まらない体で山に登れば、下りてきた後がもっとつらくなります。
まずは、ここからでした。
背中が痛いのに、確かめたのは肩甲骨と股関節でした
体を見ていくと、背中の張りだけではありませんでした。肩甲骨と股関節にも、動かしにくさがありました。
寝返りは、背中だけでする動きではありません。肩甲骨が動き、股関節が動いて、その結果として体の向きが変わります。どこかが止まれば、別のどこかが余計に働きます。
実際に寝返りと起き上がりをしていただき、呼吸に合わせて体がどう動くかも一緒に確認しました。
そのうえで、施術と並行して、動き方そのものを練習しました。「こう動くと楽ですね」を、一つずつ確かめながらです。
山の上でできることは、休憩の取り方を変えることでした
山に入ってしまえば、私は隣にいません。そこで、ご自分でできることを3つお伝えしました。
- 休憩の回数を、いつもより増やす
- 休憩のたびに、ザックを下ろす
- 下ろしたら、肩甲骨を意識して軽く動かす
ザックを背負ったままの休憩では、肩と背中に荷物の重さがかかり続けます。一度下ろして、肩甲骨を軽く動かす。それだけで、背中に集まっていた負担がリセットされます。
「疲れてから休む」ではなく、疲れる前にこまめに。回数を増やすほうが、背中は守れます。
肩甲骨の動かし方そのものは、肩甲骨寄せストレッチの正しいやり方で解説しています。力を入れる場所を間違えると、首の運動になってしまう動きです。
登る前と、帰った後に。5分ずつのケア
あわせて、登山の前後にやっていただくケアをまとめました。
登る前|前側で体を支える準備をする
背中に負担が集中しないよう、お腹側で体を支える準備をしてから山に入る、という考え方です。
- お腹をへこませて、両手を前に伸ばす(10回)
息を軽く吐きながらお腹をへこませ、そのまま両手を前へ。肩甲骨を前にスライドさせます。背中は丸めません。 - 肩回し(前後 各10回)
肩甲骨を意識して、大きくゆっくり。肩と首の力は抜きます。 - 深呼吸(5回)
鼻から吸ってお腹と肋骨を広げ、口から吐いて戻します。
帰った後|疲れを翌日に残さない
- 太ももの裏を伸ばす(左右 各30秒)
骨盤を前に倒すように。膝は軽く曲げても大丈夫です。反動はつけません。 - 股関節の前側を伸ばす(左右 各30秒)
お尻を軽く締めて、腰が反らないように。 - 登る前と同じ、お腹の運動(10回)
体の使い方をリセットします。 - 深呼吸(5回)
呼吸を整えて終わりです。
疲れること自体は、悪いことではありません。疲れを翌日に持ち越さないことが、体を長く使うコツです。
家に帰ると、動き方は忘れます
その場でできるようになっても、家に帰ると思い出せない。よくあることです。動き方は、言葉で覚えるものではないからです。
そこで、ここまでの内容を後から見返せる資料にしてお渡ししました。寝る姿勢や、寝返り・起き上がりのコツも同じようにお渡ししています。

その時々の状態に合わせて、中身は入れ替えてきました。ご自身でも運動を続けながら、体づくりに取り組んでくださっています。
今は、登った後に張りは出ても、痛みまでは出ない
2026年9月時点の状態です。
- 登山の後、背中に張りや硬さは出る
- ただし、痛みまでは至らない
- 寝返りも起き上がりも、痛みなくできる
- 夜よく眠れて、体を休められるようになった
「張りは出る」と書いているのは、そこが実際だからです。ゼロになったわけではありません。出ても戻るようになった、というほうが近いです。
いちばん大きかったのは、寝返りと起き上がりでした。ここが痛みなくできるようになって、よく眠れる・しっかり休めるようになりました。休めるようになると、次の登山までに体が戻ります。
通院のときの様子からも、以前より疲労がたまりにくくなってきたと感じています。今は、月1回を目安にしたメンテナンスへ移っていく段階です。

ご本人が、ボードにこう書いてくださいました。
とざんできるようになりました。
せなかのいたみがらくになりました。
「続けたいこと」から逆算しています
当院では、今つらいことと、これからも続けたいことの両方を伺います。
目標によって、やることが変わるからです。
「痛みを取る」だけが目標なら、痛くなる動きを避ければ達成できます。でも、それだと山には登れません。
山に登り続けたいなら、目指すのは「登った後に戻れる体」です。やる運動も、お伝えするケアも、そこから逆算して決まります。
山に登ること。旅行に出かけること。仕事や家事を、これまで通り続けること。大切にしたいことは、人それぞれです。
気になっていることを、お聞かせください
寝返りや起き上がりがつらい。趣味の後に、体のつらさが残る。
そういうお困りごとがあれば、一度ご相談ください。うまく説明できなくても大丈夫です。「どの動きで、いつ痛むか」を一緒に確かめるところから始めます。
つくば市上ノ室|肩こり・四十肩・腰痛
作業療法士(国家資格)が、
60分マンツーマンで担当します
初回体験(カウンセリング+施術60分)通常8,000円 → 4,280円
※写真とご感想は、ご本人の許可をいただいて掲載しています。本文の経過は施術者の記録をもとにまとめています。状態や変化には個人差があり、同様の結果を保証するものではありません。
