緩和ケア病棟でのリハビリ経験から思うこと

院長コラム

こんにちは、つくば桜日和整体の久松です。
今日は少し個人的な振り返りを綴ってみたいと思います。

実は今度、地域で緩和ケア出身の先生が新たにクリニックを開院されるそうです。
その知らせを聞いたときに、ふと、自分が作業療法士として緩和ケア病棟で過ごした日々を思い出しました。


緩和ケア病棟での半年間

私が緩和ケア病棟に所属していたのは半年ほど。
外科病棟と兼任する形で、日々さまざまな患者様と向き合っていました。

緩和ケアというと、「人生の最期を穏やかに迎える場所」というイメージが強いかもしれません。
でも私にとっては、どちらかというと“リハビリの人として、何かできることはないか”と模索していた日々だったように思います。

緩和ケアではリハビリといっても、無理に体を動かすことはありません。
散歩が好きな方とは車椅子で院内を回ったり、
「今日は腰が重くて…」とおっしゃる方には、ベッド上で優しくマッサージをしたり、
あとは、ただそばにいてお話を聴く――そんな時間がほとんどでした。


忘れられない患者様の言葉

「また明日も来てね」
そう言ってくれた方がいました。
でもその翌日、急変されてしまい、「今日はリハビリ、お休みします」と伝えた後、
さらに次の日に出勤したときには、すでに亡くなられていました。

悲しいというより、何とも言えない虚無感。
「私は、何か役に立てていたのかな…」
そんな気持ちが、しばらく胸に残ったのを覚えています。


緩和ケアで感じたこと、そして自分の弱さ

その病棟では、末期がんの患者様がほとんどでした。
次の日に病室を訪ねたらもう姿がなかったり、数日のうちに弱っていく様子を目の当たりにすることも少なくありませんでした。

ご本人から「ありがとう」と言っていただいたり、ご家族から感謝の言葉をいただいたことも何度もあります。
それでも、自分の中では次第に「このままでは自分の心がもたない」という気持ちが強くなっていったのです。

今振り返ると、私は「まだ変えられる」人と向き合える時間が、仕事をしていく上で心の支えだったのだと思います。


今の自分につながる感覚

私は、緩和ケアの現場で「寄り添う」ということの意味を少しだけ知ることができました。
それは、いま整体師として働く上でも、芯の部分に残っている感覚です。

人の体に触れるということ。
相手の生活に関わるということ。
それは、ただ筋肉をほぐしたり、姿勢を直すだけではない。

「今、この人が少しでもラクに、少しでも安心して日々を過ごせるように」
その視点で関われるようになったのは、間違いなくあの半年間の経験があるからだと思います。


最後に

私は今、「元気になりたい」と願う方たちと向き合う場所で仕事をしています。
でも時々、あの静かな病棟で交わした言葉や表情が、ふと心に浮かびます。

緩和ケアでの経験が、いまも私の根っこにある。
そう感じながら、これからもひとりひとりと丁寧に向き合っていきたいと思います。

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